看護師と一緒に仕事をする人々

医療の現場は、専門職の集まりです。看護師仲間だけではなく、医師をはじめ、薬剤師や診療放射線技師、臨床検査技師など、いろいろなスタッフと協力しながら、チームを組んで、患者さんの治療にあたっています。ここでは、看護師と連携して仕事をする、主な職種を紹介していきます。

女性が多いのは看護師だけではない

医療は、サービス業といわれることもあるように、人の労働が中心の産業です。だからこそ、働いている人もたくさんいます。医師や看護師以外にも、たくさんの職種のスタッフが働いています。なおかつ、医療という専門的なスキルを必要とするサービスだけに、国家資格をはじめ、都道府県知事資格、民間資格などを保有するプロフェッショナルが集まっています。




そんな病院の特徴の一つは、女性が多い職場であるということです。
医師は、まだまだ男性が多いですが、医師以外の職種をみると、ほとんどが女性の割合の方が高くなっています。これから紹介する7職種のなかで、男性の割合の方が高いのは、診療放射線技師と理学療法士くらいです。ちなみに、同じリハビリスタッフでも、作業療法士の場合は、女性の方が多いようです。

ピラミッド型の医療ではなく、「専門性」と「チーム力」

ところで、以下では主な職種として、7職種を紹介しますが、実際、病院には、30種類以上もの専門スタッフが働いています。たとえば、医療機器の管理を行う「臨床工学技士」、精神疾患の患者さんの社会支援をサポートする「精神保健福祉士」、患者さんのメンタルケアを行う「臨床心理士」、診療情報の管理や分析を行う「診療情報管理士」、、、などです。
こうしたさまざまな専門スタッフが集まる病院は、これまでは医師を頂点とした「ピラミッド型」の組織であるといわれていました。確かに診療を行ううえで、医師以外のスタッフは、医師の指示のもの、仕事を行わなければいけない場面もあります。しかし、医師の指示がなければ、他のスタッフは何もできないのかといえば、当然ながら、決してそうではありません。
今、求められているのは、「チーム医療」です。患者さんを中心に、それぞれのスタッフが、それぞれの専門性を発揮して、なおかつ連携しながら、チームを組んで診療にあたる、というあり方です。
そのなかでは、それぞれのスタッフの専門性が重要です。医師は医療のスペシャリストとして、看護師は看護のスペシャリストとして、薬剤師は薬のスペシャリストとして、患者さんを観察し、チームのなかで意見を述べる。その結果、ミスのない安全な医療、患者さんにとってより最適な医療が提供できるのです。
特に看護師は、病院の中で一番人数の多い職種であり、なおかつ、患者さんと接する時間が一番長く、ある意味、もっとも患者さんのことを理解しているスタッフです。それだけに、看護師が担っている役割はとても大きいのです。

医師

チームのリーダー役。専門職の集まりである病院の中で、医療に関する知識が最も豊富で、診療方針・治療方針を最終的に判断する、診療のまとめ役です。医師国家試験の合格者の男女比は、7:3 くらいで、女性が徐々に増えています。

資格の難易度:合格率89.3%
医学部の偏差値:65~
医学部の学費平均:
国立:350万円
私立:2,240万円

薬剤師

薬に関するスペシャリスト。医師からのオーダーのもとに薬をつくる「調剤」、患者さんのベッドをまわって、薬に関するアドバイスを行う「服薬指導」が主な仕事です。薬剤師の男女比は、4:6 くらいですが、病院で働いている薬剤師は、女性が圧倒的に多いです。

資格の難易度:合格率44.4%
薬学部の偏差値:55前後
薬学部の学費平均:
国立:350万円程度
私立:1,000万円~2,000万円

診療放射線技師

診療放射線技師の仕事は、レントゲン撮影やCT、MRIなどの画像診断、放射線治療の際に、放射線を患者さんに照射し、機器の管理を行うこと。健康診断のときにレントゲン撮影を行ってくれる白衣を着た人は、基本的に診療放射線技師です。8割以上が男性と、男性が多い職種です。

資格の難易度:合格率71.1%

臨床検査技師

病気の診断や治療効果の判定を行うために、血液や尿、便などから、患者さんの健康状況を検査する人。心電図や超音波検査、聴力検査などを担当することもあります。男女比は、4:6 くらいで、女性のほうが多くなっています。

資格の難易度:合格率67.0%

管理栄養士・栄養士

食事面から、患者さんの健康をサポートする人。患者さんの病気や検査結果、食事制限、栄養バランスを考えて献立をつくるほか、外来・入院の患者さんに栄養上のアドバイスを行います。栄養士の上級資格が、国家資格である管理栄養士で、合格率3割前後の狭き門です。看護師同様に、女性が多い職種です。

資格の難易度:合格率32.2%(管理栄養士)

理学療法士・作業療法士

リハビリテーションのスペシャリスト。腕や足を曲げる・伸ばす、歩く、走るといった動作の練習をサポートするのが理学療法士、園芸や手芸、木工といった作業を通して、身体的機能の回復をサポートするのが、作業療法士です。言語リハビリテーションをサポートする言語聴覚士もいます。

資格の難易度:
理学療法士:合格率74.3%
作業療法士:合格率71.0%
言語聴覚士:合格率69.3%

事務職員(医療事務)

受付・会計・レセプトという毎月の医療費の請求書を作成する仕事、新しい入院患者・退院患者の受付業務や電話対応など、病院にはさまざまな事務業務を行っている職員がいます。医療事務関連の資格は複数あり、いずれも民間資格です。資格を持っていなければ採用されないというわけではないため、実務経験をつみながら、資格を取得する人も多いようです。

100ベッドの病院に、医療スタッフは何人いる?

いろいろなスタッフがいる病院のなかで、圧倒的に人数が多い大所帯が、看護師です。「医師も、看護師には頭が上がらない」なんて噂にもうなずけます。

医師:11.9人
歯科医師:0.6人
薬剤師:2.7人
看護師:41.2人
准看護師:10.4人
診療放射線技師・診療エックス線技師:2.4人
臨床検査技師・衛生検査技師:3.0人
管理栄養士・栄養士:1.5人
その他:39.9人
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総数: 113.7人

ここまで読んで頂きありがとうございました。
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