訪問看護ステーションにおける看護師の仕事 訪問看護師とは?

「訪問看護師」は、家で療養する利用者(在宅では「患者」と呼びません)の命と生活を守るために、医師の「訪問看護指示書」によって、定期的に自宅を訪問して、看護します。

訪問看護ステーション

「訪問看護ステーション」は、全国に1万箇所程度(平成30年4月時点)あります。医療保険または介護保険において、医師の訪問看護指示書により、訪問看護が利用できます。




訪問看護ステーションの管理者は、看護職です。医療保険の訪問看護利用者は約7万人程度、介護保険の訪問看護利用者は約40万人程度、合わせて、40万人~50万人程度にものぼりますが、超高齢化社会になった今、今後ますます増えると予測されています。

訪問看護師は何をする人?

訪問看護師は、自宅で療養生活を送る人の家を訪問します。たとえば、肺の病気で常に酸素療法を行いながら生活をしている人には、「酸素の量が適切か」「呼吸の状態が落ち着いているか」「生活を送るうえで、心配なことはないか」、進行する症状に合わせながら、医療の専門職としてさまざまなアドバイスをしていきます。がんの末期で、痛みのコントロールをしながら、最期まで家で生活をしたい人の訪問では、「痛みのコントロールができているか」「家族が安心して看取ることができているか」、24時間にわたりサポートをします。

訪問看護師は訪問時に医療処置を行いますが、常に利用者の自宅にいるわけではありません。病院と異なる点は、主に利用者や家族が自分たちで処置や介護を行えるように教育的にかかわる点です。

主役は利用者と家族

在宅における主役は利用者と家族です。病者である利用者が望む事、その人らしく過ごせることを何よりも大切にします。訪問看護師は常にアンテナを高くしながら、利用者と家族の声に耳を傾けていきます。

家での生活を送るために、医療処置が必要な患者を支える

現在、自宅で在宅酸素療法(呼吸器や心臓の病気で全身への酸素が自分で供給できないために、酸素を吸入する療法)を行っている利用者は、全国で約15万人いると言われています。2010年には約2万人でしたから、10年で7.5倍にも増えています。呼吸器機能が弱い利用者は、適切なコントロールが行われないと、酸素不足に陥って意識を失ったり、風邪を引いただけで呼吸が苦しくなります。そのため、訪問看護師は、定期的に自宅を訪問し、安全に生活しているかどうか、全身の酸素の状態や呼吸の状態を把握し、肺の音を聴診して、異常の早期発見に努めます。また、利用者や家族に注意すべきことなどを伝えていきます。

たとえば、厚生労働省は、在宅酸素使用中の重篤な火災事故について発表しています。原因の半数は、酸素使用中の喫煙が原因とされ、燃焼を助ける働きが強い酸素について適切な管理がされていなかったことから、注意喚起を促しています。看護師は、これらの酸素供給器を安全に使うように具体的な生活指導を行います。

訪問看護は基本的に看護師が1人で訪問するため、個人で判断しなければなりません。利用者が緊急時にどのような対応を望んでいるのか、医師の指示はどうなっているのかなどの情報をスタッフ間で共有し、看護方針を確認しておく必要があります。判断に迷う場合には、管理者や主治医に連絡して相談することもあります。個人で訪問する看護師を支える体制作りも大切です。

病院との違い

住み慣れた我が家で家族に囲まれてゆったりと過ごす時間は、どんな治療よりも利用者に笑顔と休息をもたらします。病院ではさまざまな物品がそろっていますが、在宅においては身体を拭く場合でも、家族にお湯を準備してもらったり、家にある物を工夫してケアを行う必要があります。看護師には、豊かな発想と柔軟性が求められます。また、家族に介護方法を教えたり、介護士やケアマネージャーとの調整や協働も意図的に行わなくてはなりません。

訪問看護師の1日の仕事の流れ(例)

8:30
・出勤:更衣、本日の訪問予定の確認
・訪問先に合わせた必要物品の確認、自転車や車の点検

9:00
・朝の打ち合わせ、夜間携帯の報告内容
・各スタッフのスケジュールを確認、訪問先に確認の連絡

9:30
・午前の訪問:車や自転車で移動
・1件目の訪問:全身状態の観察、寝たきりの利用者の洗髪
・2件目の訪問:糖尿病で視力を失った利用者の血糖値とインシュリン自己注射の確認

12:00
・訪問看護ステーションに戻り、昼食をとる

13:00
・チームカンファレンス:訪問看護師、リハビリ、ケアマネージャーとの情報共有と看護計画の確認

13:45
・午後の訪問
・3件目の訪問:入浴介助
・4件目の訪問:床ずれの処置、痛み止めの薬の調節

15:45
・訪問看護ステーションに戻り、訪問した利用者の様子について、管理者および在宅診療の担当医に報告、相談をする。
・時には、行政を担う地域の保健師に利用者の状態報告をし、対応を検討する。

16:00
・記録

※週1回の朝のカンファレンス
訪問に出かける前に新しく受け入れた利用者や家族の情報を全員で共有します。医師の治療方針・緊急時の対応やキーパーソン(在宅療法の鍵となる人物の存在)など、活発な意見交換が続きます。