【看護記録の書き方の基本 -4-】看護計画の基本的な書き方 目標の立て方 記載方法 作成方法 クリニカルパスとは 看護問題 患者目標 計画内容 観察計画

看護師や准看護師、看護助手のみなさまの行う看護は漠然と患者を看るというわけではなく、きちんと目標と計画に基づいて実施されています。

本記事では、看護師が看護記録の中で作成する看護計画の基本的な書き方について説明します。その中で、クリニカルパスや看護問題、患者目標、計画内容、観察計画などについて触れます。




(1)看護計画の構成要素

看護計画は、次の3つの要素から構成されています。

①看護問題

②患者目標

③計画内容

それぞれの構成要素の内容について、次章から説明します。

(2)看護問題

看護問題では、NANDAI-Iに基づく看護診断名を選択します。

優先順位を付けて介入していきます。

(3)患者目標

患者目標とは、いつまでに患者にどうなって欲しいのかを示したものです。

看護計画を立案する際に注意して欲しいポイントが3点あります。

ポイント① 患者が主語になる

よくある間違いとして、例えば、「看護問題:転倒転落リスク状態」ですが、患者目標:「転倒させない」と書いてしまう時があります。

この場合、「転倒させない」の主語は看護師ですよね? これではいけません。

「患者」の目標なので、患者が主語になるように、「転倒しない」とするのがよいのです。

ポイント② 評価ができる目標を

次によくある間違いとして、評価がしにくい目標設定をしている場合があります。

例えば、「看護問題:活動耐性低下」があります。

「患者目標:できるだけ車椅子で過ごす」としてしまうと、「できるだけ」って「どれくらい?」となってしまいます。

そのため、具体的な数値を用いて、「1日15分車椅子で過ごすことができる」というように表現しましょう。

ポイント③ 無理のない目標設定を

さらによくある間違いとして、患者にいきなり高い目標を設定したばかりに、期日までに目標が達成できないということがあります。

これは、段階を踏んで徐々に目標設定をしていかなかったため起こることです。

例えば、ポイント②で挙げた「看護問題:活動耐性低下」について、「患者目標:1日4時間車椅子で過ごすことができる」というのが退院までの目標だとしたら、まずは、「入院7日目までにベッドに端坐位になることができる」という比較的簡単な目標から始めましょう。

そして、「短期目標」「長期目標」と2つに分けてもよいのです。

(4)計画内容

看護問題と患者目標ができたら、次は目標を達成するための具体的な計画を考えましょう。

計画は次の3つの観点から考えます。

O-P (Observation Plan):観察計画

T-P (Treatment Plan):援助計画

E-P (Education Plan):教育計画

O-P (Observation Plan):観察計画とは

観察計画とは、目、耳、鼻、指を使って得られた情報のことです。

例えば、採血データやバイタルサインの変化、患者の顔色や表情、皮膚の色、爪の様子、チアノーゼや発汗の有無、下痢、嘔吐の有無、咳や喘鳴の有無、排泄物の色や性状、臭いなど目で見たり、耳で聞いたり、鼻で嗅ぐことで収集できる情報を書きます。

T-P (Treatment Plan):援助計画

援助計画とは、手を使って行う援助のことです。

例えば、バイタルサイン測定や輸液管理、体位変換、トイレの歩行の付き添い、寝衣交換、オムツ交換など様々な援助のことです。

O-P、E-Pに入らない計画は、おおよそT-Pに入れてしまっても問題はないです。

E-P (Education Plan):教育計画

教育計画とは、口を使って説明することです。

例えば、「トイレに行きたくなったらナースコールを押してください」と説明することや、「身体が動かしにくいときは無理に動いたりしないでください」と指導することなどです。

(5)クリニカルパス(クリティカルパス)とは?

病院によっては、看護計画でなくクリニカルパス(あるいは、クリティカルパスと呼びます)を用いるケースがあります。

このクリニカルパス(クリティカルパス)とは、重症な患者や複雑でない症状の患者に関して、治療や検査の「標準的な経過」を説明するために、入院中の予定を纏めた、入院診療計画書のことです。

入院の際、患者が入院中に受ける検査や手術の予定や、手術後のリハビリなどの治療内容や食事、入浴などの予定を、このクリニカルパス(クリティカルパス)で把握します。

また、従来の医師によって差があった医療処置の内容を標準化(一般化)し、医師や看護師、医療にかかわるスタッフなど、全員が「患者さんの治療計画を共有化」することにより、チーム医療に役立て、医療の安全や医療の質の向上を目指します。

しかしながら、全ての患者さんに、このクリニカルパス(クリティカルパス)が使用できるわけではありません。

標準化(一般化)しにくい疾患・症状の場合や、患者さんの状態によってはクリニカルパス(クリティカルパス)が使用できないこともあり、その場合は個別の看護計画が必要です。

ベテランナースからのアドバイス

本やネット情報によっては、「指導計画」と書いてあるため、何か指導しなければいけないと考えてしまいますが、口頭での説明も指導の一つと考えましょう。

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