看護師の奨学金制度(返済しなくてよいケースもあります)


奨学金とは、基本的に経済的な理由から、通いたい学校に通えないという学生をサポートするためのもので、とってもありがたい制度です。
一般的には奨学金は、成績が良い学生のための支援金の場合が多いですが、この奨学金、看護学校に通う学生の場合、一定の条件を満たせば、返さなくてもよいケースがほとんどって、知っていましたか? 知らないと損です。
この記事では、看護学生を対象とした、代表的な奨学金制度をご紹介します。

奨学金とは(優れた学生に貸すものだけ?)

「奨学金」とは、経済的な理由で学校に通うのが難しい学生に貸与するお金のことです。あくまでも、「貸与」なので、返済は必須です。
代表的なのが、独立行政法人日本学生支援機構の奨学金です。この奨学金は、「経済的な理由により就学に困難がある優れた学生などに対し貸与されます」と説明されています。家庭の事情でお金が必要ということだけではなく、「優れた学生」であることも条件です。では、「優れた」とはどういうことかというと、「高校1年から申し込み時までの成績の平均値が3.5以上」といった条件が設けられています。
そして、もちろん返済は必須です。万が一、本人が死亡した場合でも、連帯保証人、または保証人が返還しなければなりません。
このほか、「あしなが奨学金」もよく耳にするのではないでしょうか。これは、あしなが育英会が運営している奨学金で、保護者が亡くなったり、重度の後遺障害で働くことができない家庭のこどもたちに、高校、大学、専門学校などへの進学のためのお金を貸しだす制度です。
両親がいない、あるいは働く事が困難という子供たちのための奨学金制度ですが、それでもやはり返済の義務があります。貸与が終わって、6か月後から20年以内に返すこととなっています。返済が免除されるのは、本人が死亡したり、心身障害などで返済できなくなった場合のみです。



看護学生ほど、恵まれている学生はいない!?

一方で、看護学校に通う学生をサポートする奨学金はというと、返さなくてもよいケースが多いのが特徴です。「借りた期間分、看護師として働いたら返さなくてもいいよ」という条件になっていることがほどんどです。これは学生にとって、かなりありがたい制度です。なおかつ、申込みに当たって、学校の成績などの条件は、ない場合が多いです。
なぜ、返さなくてよいお金を貸してくれるのかというと、それだけ看護師になる人が増えて欲しいからです。全国的に看護師が不足しているので、それぞれの病院も、それぞれの都道府県も、看護学生を対象にした使いやすい奨学金を用意しているのです。
ただし、裏を返せば、もし、今後、看護師が増えて世の中に充足してきたら、もしかしたら、「奨学金はちゃんと返してね」と変わるかも知れません。
月に5万円程度の奨学金をもらえれば、専門学校の学費であれば全てまかなえますし、看護学生というのは、今、とても恵まれた環境にあることは間違いありません。

都道府県の看護師等修学資金貸与事業

都道府県が運営する奨学金制度です。
看護師等修学資金貸与事業を運営する都道府県内にある看護師や准看護師、保健師、助産師の学校に通い、卒業後に免許を取得し、その都道府県内の医療機関で仕事をしたいと考えている人をサポートするためのものです。該当する都道府県外の学校に通う場合でも、住所が都道府県内にあれば、奨学金を受けられる場合もあります。
奨学金の金額は、自治体立の看護学校に通う場合は、月額3万2千円、民間の看護学校に通う場合は、3万6千円という設定が一般的です。ただ、都道府県によって異なりますので、ご注意ください。また、都道府県によっては、そもそも実施していないところもありますので、それぞれの自治体で確認が必要です。
この奨学金制度の目的は、「看護師(あるいは保健師、助産師、准看護師)資格取得後、その都道府県内で働いてもらうこと」。学校を卒業後、免許を取得して、5年間、看護師として、都道府県内の規定の医療機関で働くと、奨学金の返還が免除されます。

ある自治体(県)の場合の奨学金制度を以下に記載します。

①対象となるのは?
・看護師、准看護師、保健師、助産師の学校に在学する人
・県内の決められた医療機関で、取得した免許をいかして仕事をしたいと考えている人

②月額いくら?
・国公立の学校:32,000円/月
・私立の学校:36,000円/月
・准看護師の場合
国公立:15,000円/月
私立:21,000円/月

③奨学金の返還が免除される条件は?
・条件1:学校の卒業後に、看護師国家試験に合格すること。
・条件2:卒業年の4月に指定の医療機関に就職し、5年間看護職員として働くこと。

④指定の医療機関とは?
県内の
・病床200床未満の病院
・精神病床が全体の80%以上の病院
・重症心身障害児施設
・条例の規定する老人病院
・母子保健センター(助産師)
・診療所
・介護老人保健施設
・訪問看護事業所

病院・病院グループの奨学金

病院のなかには、「これから看護師になろう!」という人たちのために、看護学校にかかる学費を援助してくれるところもあります。なぜ、そうした支援を行ってくれるのかといったら、当然、「卒業後に病院で働いてもらいたいから」。
そのため、卒業後に、奨学金を払ってくれた病院、または関連病院に就職しない場合は、返済する必要がありますが、その病院で働く場合には、「奨学金を受けた年数と同じ期間働くこと」を条件に返済が免除されるケースがほとんどです。なお、就職後の給与などの条件は、ほかの職員と同じです。奨学金を返す必要がない分、給与が低くなるなんて心配はいりません。
奨学金の金額も、応募の条件、応募期間、応募人数なども、病院によってさまざまですので、もし、「この病院で働きたい!」というところがあれば、調べてみるといいでしょう。都道府県の奨学金の場合、200床未満の病院、高齢者の多い病院などに限られるため、「もう少し規模の大きな病院で働きたい!」「急性期の病院で経験を積みたい!」といった希望がある場合は、個別の病院、あるいは病院グループを事前に調べてみるのも一つの手です。
ちなみに、看護学校が独自で奨学金制度を準備している場合、その多くは、学校の母体となっている病院が運営しています。

日本学生支援機構の奨学金

看護学校に行く学生に限らず、専門学校や大学、短期大学、大学院、あるいは海外の大学、大学院への進学を希望する人のために奨学金を提供しているのが、独立行政法人日本学生支援機構です。
在学している、あるいは、入学する予定の学校を通じて申し込みを行い、人物・健康・学力・家計面から選考が行われ、選ばれれば、奨学金をもらえるというシステムです。
無利息で借りられる「第一種奨学金」と、利息がつく「第二種奨学金」の二種類があり、やはり利息がつかない第一種奨学金のほうが先行が厳しくなっています。

その他の奨学金制度

ここまでに紹介した奨学金制度以外にも、看護師を経済的にサポートしてくれる奨学金は、いろいろとあります。そのなかには、看護師になるための学校の学費だけではなく、看護師になってからの生活をサポートしてくれる奨学金もあります。
准看護師から看護師へのキャリアアップをサポートする制度や、がん看護、訪問看護、在宅ケアなどの特定の分野の看護師を育成するための奨学金など、いろいろあります。

以下に奨学金制度の例を挙げます。

・東京都育英資金
団体名:東京都私学財団
対象:高等学校、高等専門学校、専修学校の学生
金額:専修学校の場合
国公立:4,500円/月
私立:53,000円/月
選考の有無:有
返済義務の有無:有(無利息)

・奨学金制度
団体名:都道府県看護協会
対象:2年制の看護学校(通信制)に通う准看護師
金額:年額360,000円/月
選考の有無:有
返済義務の有無:有

・訪問看護・在宅ケア研究助成
団体名:日本訪問看護振興財団
対象:訪問看護・在宅ケア関連に従事する、訪問看護・在宅ケアに関する研究論文の応募者
金額:1件300,000円/月
選考の有無:有
返済義務の有無:無

複数の奨学金を使うという手もあります

奨学金を借りると、社会人になってから返すのが大変そう・・・と心配している人もいるでしょう。しかし、看護学校に通う学生の場合、条件を満たせば返済が免除になる奨学金が多いです。
一つの奨学金だけではなく、複数の奨学金を併用して使うことも可能です。
奨学金を賢く使えば、一人暮らしをしながら学校に通うことも十分に出来ますし、「学費を払って、余った分は休日のリフレッシュに使わせてもらいました!」なんて人もいます。返済が免除されるものを選べば、看護師として働き始めてからの負担もありません。
また、「奨学金を受けた期間分働けば返済が免除されることが働くモチベーションになって、仕事を続けられたので良かった」という先輩看護師たちの話も聞きます。