【看護記録の書き方の基本 -3-】基礎情報・看護問題リスト・看護問題(看護診断)

看護記録の5つの要素のうち、本記事では、「基礎情報」と「看護問題リスト」「看護問題(看護診断)」について説明します。




(1)基礎情報

①基礎情報とは

基礎情報用紙は紙カルテだと、1号紙やアナムネ用紙、データベース用紙などと呼ばれます。

また、電子カルテでも同様の名前が付いたシートがあります。

ここには、患者の氏名、年齢、血液型、キーパーソン、入院時のバイタルサイン、入院までの経過、患者・家族が問題と感じていることなど、患者自身のことだけではなく、家族との関係やそれぞれの思いといった詳細な個人情報が記載されています。

そのため、取り扱いには特に注意しなければなりません。

②基礎情報の中で最も大事なもの

基礎情報の中で、最も大事なのは、「入院までの経過と患者・家族が問題と感じていること」です。

むしろ、この情報さえあれば、おおまかな看護プランを立てることさえできます。

というのも、「入院までの経過」が分かれば、現在、生じている症状や、今後、生じる可能性のある問題をおおまかに考えることができます。

そして、「患者・家族が問題と感じていること」が分かれば、看護をするうえで特に気を付けなければならない点が分かるからです。

(2)看護問題リスト

看護問題リストとは、患者の抱える看護上の問題(看護問題)に優先順位を付けて並べたものです。

優先順位の高いものほど、重点的に介護介入を行い、問題解決につなげていきます。

看護問題リスト

看護問題リストには、患者の抱える看護上の問題点(看護問題)が列挙されています。

看護問題リストを見ることで、患者が現在どのような状況にあり、どんな看護を必要としているのかザックリと判断する指標になります。

しかしながら、看護問題リストのみで看護の機能を果たすことはなく、それぞれの看護問題に対して立てられた看護計画をもとに看護が実践されます。

看護問題リストは一般に、次のような内容です。

問題番号 看護問題リスト
#1 XXXXXXXXXX
#2 XXXXXXXXXX
#3 XXXXXXXXXX
#4 XXXXXXXXXX
#5 XXXXXXXXXX

※優先順位の高いものから、#1、#2、#3・・・のように書きます。

※NANDAI-Iに基づく看護問題を挙げます。

(3)看護問題(看護診断)

看護問題とは、看護診断とも呼ばれます。

病名は、医師が診断したものというのと同様に、看護問題は、看護師が診断したものと考えてください。

看護師は、患者が望む生活を妨げており、介護介入によって解決もしくは軽減できる事柄のことを看護問題として挙げます。

その際、使うのが、NANDAI-Iの看護診断名です。

①NANDAI-I とは

医師が診断するものは、病名(疾患名)ですが、看護師も看護の観点から診断をします。

医師が診断の際に表現が統一された病名を使うように、看護師が行う看護診断にも、統一された表現があります。

そこで使われるのが、NANDAI-I (the North American Nursing Diagnosis Association – International: 北米看護診断協会 インターナショナル)の看護診断名です。

★ベテランナースからのアドバイス

看護師も看護の観点から診断をします。

そのために、看護師が行う看護診断にも統一された表現があります。

②看護診断の具体例

次のような事例で考えてみましょう。

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●事例:Aさん 80歳代 女性
下肢の筋力低下のため、自力歩行は困難であり、日中はベッド上で過ごされている時間が多い。

認知症もあり、つじつまの合わない会話や突発的な行動が目立つ。

いままで、何度も自分ひとりでトイレに行こうとベッドから降りて、ベッドサイドで倒れている所を発見されている。
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この事例に対して、転倒する危険があるという意味の看護問題を挙げるとしましょう。

表現方法は、人によって、次のように様々になります。

・転倒するリスクがある。
・転ぶ可能性がある。
・転ぶ危険がある。
・転びそうな状態

など、これでは、同じ問題なのに、異なった解釈をされてしまう可能性があるということで、バシッと「転倒転落リスク状態」という看護診断名に統一しましょうとなったのです。

看護診断で使われている診断名は、本家がアメリカであるNANDAI-Iを日本語に直訳したものです。

そのため、以前は、「Risk for Fall」を「転倒リスク状態」と訳していました。

しかし、現在は赤ちゃんがベッドやおむつ台、階段、窓から転落するリスクも入れたほうがよいということで、「転落転倒リスク状態」と改訂されています。

★ベテランナースからのアドバイス

「転落」というのは、「大人」がベッドから転落するのではなく、あくまで「赤ちゃん」ということが前提なので注意しましょう。

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[看護記録の書き方の基本シリーズ:これであたなも看護記録がすばやく簡単に書ける!]

【1】看護記録とは・電子カルテとは? IC記録と情報開示 概要、基本的な書き方、使い方を学ぼう
【2】電子カルテの使い方 簡単な申し送りのコツ
【3】基礎情報・看護問題リスト・看護問題(看護診断)
【4】看護計画の基本的な書き方 目標の立て方 作成方法 クリニカルパスとは 看護問題 患者目標 観察計画
【5】経過記録の書き方 看護師が経過記録を書く方法 こつ テクニック 記載例
【5.1】SOAP(ソープ)の書き方の基本 POS 主観的データ 客観的データ アセスメント
【5.2】フォーカスチャーティングの書き方の基本 POS FDAR データ フォーカス アクション 反応
【5.3】経時記録の書き方の基本 方法 こつ テクニック
【6】看護サマリーの書き方 看護師が看護サマリーを書く方法 こつ 記載例 項目
【7】看護記録の書き方のルール 簡単に書く方法 ルール こつ 記載例 項目 サインの方法 署名方法
【8】IC記録 カンファレンス ムンテラ 口頭指示 ヒヤリハット(インシデント) 事例

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